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鋳物ブログ

鋳造作業法

第13章 鋳型乾燥

第1節 意味

一般に水分を除去することを乾燥というが、粘結剤の種類によっては、油、セメントの固化、樹脂、プロセスなどの硬化処理も鋳型乾燥と考えられる。

第2節 種類

用途その他によって分類すれば、つぎのようになる。

1.粘結剤別

特殊乾燥-特殊の粘結剤を使用する場合

2.熱源別

  1. 燃料として石炭、コークス、重油などを燃焼せしめる場合
  2. 電熱を利用する場合(高周波、赤外線などを含む)
  3. 電源以外のものを利用するもの(通風、ガスその他)

3.鋳型別

  1. 外型乾燥
  2. 中子乾燥
  3. 表面乾燥(特殊生型など)

4.設備別

  1. 大型乾燥炉(定置式)
  2. 中子乾燥炉
  3. 再循環式乾燥炉
  4. 移動式乾燥炉
  5. 強圧熱風移動式乾燥機
  6. 高周波乾燥装置
  7. 赤外線乾燥装置
  8. 移動式バーナー
  9. 表面燃焼
  10. 粘結剤別

第3節 鋳型乾燥機構

各部均一なる含水率の鋳型を乾燥すれば、まず表面で水分の蒸発が起こり、表面の水分の濃度が減少するための、表面と内部との間に水分の濃度差が生じ、濃度大なる内部から表面へ水分の拡散が起こる。しかして順次内部の水分が表面に拡散されて表面から蒸発し乾燥を終る。しかしながら、時には内部の水分拡散が表面に至らぬ以前に蒸発を起こす場合がある。表面蒸発が急速に過ぎれば内部拡散がこれに伴い得ず、内部の水分の多い間に表面のみ乾燥が進み、ついに亀裂変形などをおこす。したがって欠陥を生ぜしめぬためには、内部拡散が応じ得る範囲に表面蒸発を調節せねばならない。

第4節 中子乾燥炉

中子の乾燥は一般に乾燥時間は短く、出し入れの回数が多いので、多扉方式のものが多い。また流れ作業方式のところでは、コンベアシステム、エレベータシステムの中子乾燥炉を使用しているところもある。中子乾燥は最近特に油砂の使用が多いので、温度調節がむずかしく炉内温度の均一化が重要となってきた。このため再循環方式のものが年次多くなりつつある。またこの方式は熱量の調節にもなり主型乾燥に多く実施されている。


図10.1.1 乾燥時間及び乾燥温度概略

附 地方産出山砂の粒度分布

富山県地方および森本地方に産出する山砂の粒度分布、一定水分に於ける抗圧力を記す。

表_附の1地方山砂粒度分布
種別 粒度分布(%) 粒度分
対過度
6 8 10 14 20 28 36 48 65 100 145 200 270 パン
宮田砂(下層) 0.4 0.6 0.6 0.7 1.7 7.1 20.6 28.2 14.5 10.8 16.4 1435
後谷砂(1) 0.2 0.2 0.8 23.0 55.0 12.2 2.2 1.2 4.0 1340
代砂(3) 0.03 0.11 0.23 1.42 6.82 22.6 33.7 11.2 3.0 20.9 1200
神代砂(2) 0.03 0.07 0.3 1.45 5.51 18.2 30.3 14.2 7.0 22.9 13200
森本砂(内山) 2.4 0.4 0.6 1.0 11.4 53.4 12.8 6.8 11.8 1240
宮田砂(上層) 1.4 0.4 1.6 13.8 24.6 28.8 8.4 5.0 15.0 1435
切山砂 0.4 0.5 0.6 0.8 2.0 9.0 23.2 28.6 13.0 8.2 14.8 1435
呉羽砂 0.5 0.2 0.2 0.3 0.4 0.8 0.8 1.8 7.4 30.3 30.3 5.5 3.3 5.2 12.9 1250
後谷砂(2) 0.2 0.2 0.4 7.0 58.2 25.0 2.6 1.0 5.6 1320
宮島砂 0.1 0.6 0.8 4.5 13.0 33.2 26.0 9.4 2.8 1.6 0.8 0.6 0.4 1300
安楽寺砂(右) 3.5 10.5 12.4 14.2 13.6 9.6 9.0 6.9 5.6 4.4 3.0 4.2 5.4 1280
神代砂(1) 0.1 0.45 4.87 42.1 38.2 9.1 1.6 0.6 0.45 0.45 2.4 1380
安楽寺砂(左) 2.5 1.7 10.0 19.2 19.8 20.0 9.3 6.8 5.24 4.2 2.8 3.6 6.4 1280
守山砂(B) 6.7 8.8 15.5 25.0 21.0 19.6 6.6 2.2 1.2 0.2 0.2 4.6 1230
守山砂(A) 5.0 5.6 11.0 15.8 24.4 16.0 4.0 1.6 16.4

 

図附の1 地方砂の水分に対する抗圧力