鋳物ブログ
第6章 砂型による造型の作業方法
第1節 単体模型による型込め法
Fig60円板
生型砂を用いてFig60の如き型込めを行なうには、前述した基本要領に準じて行なう。
- 準備する。
作業者の位置と道具類の置き方は型込め場の状況によって一定しないが、できるだけ作業者のてのとどく位置に置くことが望ましい。 - 工具を手入れする
- 枠を選ぶ
この場合は290×200×100ぐらいがよい(できるだけガタのないもの) - わくの内面に水を打つ
- 定盤の上に木型を置く
- わくを置く(Fig62)
わくを置いたら木型を適当な位置に置きかえる。すなわち湯口棒を立てることを考慮して図のように配置する。図中の距離aはこの場合35mm前後が理想である。このことはわくの選択に際して注意しなければならない。 - はば砂をきせる
木型が動かないように左手でわくおよび木型を押え右手ではだ砂を握って木型の周囲を軽くたたきつける。島の部分(a)は底の所(×印)が相当硬くなるように押し、つぎにはだ砂で木型をつつむが、その厚みは10mmぐらいとする。 - 荒砂を入れる
- 砂を突き固める
砂を突く場合、木型の上を突かないように注意する。 - 砂をかき取り、分れ砂をふる
- わくを反転する
- 押さえをなでる。
- 分れ砂をまく
- 上わくをのせる
合せ面がよく合った、ガタのない上わくを選ぶことが必要である。 - 湯口棒を立てる
湯口棒を立てる際に、上から軽く押しつけるようにすると、下型に位置がわかるような跡がつくしまた倒れない。 - はだ砂をきせ荒砂を入れる
- 砂を突き固める
ガス抜きをよくするためと、下型に凹凸がつかないようにするため、下型よりも幾分軟らかくつく。 - 合印をつける
- 湯口棒を抜き取る
突き棒、スタンプにて砂を突き固めた後、かき板にて砂をかき取り、湯口棒の周囲に丸筆にて水を打ち、湯口棒を親指と人差し指でつまみ、回転させながら抜くつぎに指を穴に入れて面を取り、盛り上がった砂をかき板にてかき取った後、手で押えて固めながら仕上げる。 - 上わくをはぐ
上わくをはぐ前にわくを置く場所を手またはかき板で平らにならしておく。つぎにわくの握りを両手で持ち静かにはいで返し、砂面にすり込むようにして置く。この場合、合印にさわって印をこわさないように注意する。またわくをはぐとき、利き手の側から先に上げるようにする。 - 別れ砂を筆ではらう
上わくをはいだら下型の別れ砂を板筆で軽くはらいのける。筆を動かす方法はaのように行なう。筆bのようにすると合印をこわすおそれがある。 - せきを切る
湯口の下から木型までのせきを切る部分に水を敷くが、その要領はFig67のように親指と人差し指で、丸筆に含ませた水が常に一定に絞られて出るようにする。
せきを切る要領はFig68のように①の部分を深く、品物に近づくにしたがって浅く、断面は正三角形にする。またせきは型の接線方向に向って切るのであるが、あまり極端に切ると⑥の部分がこわれるおそれがあるので、だいたい(a)に示す角度にとどめる。 - 木型をあげる
- 枠のつくろい方
- 塗料をする
- 砂をかぶせる
- おもりをのせる
- 型をならべる
Fig61 |
Fig62 湯口棒と木型の位置 |
Fig63 はだ砂をきせる |
Fig64 湯口棒をたてる |
Fig65 |
Fig66 |
Fig67 |
Fig68せきの切り方 |
Fig69型のならべ方 |
第2節 割り木型による型込法
Fig70型込め型のつくり方
- 最初木型のだぼがかたくないかどうか、だぼ合せをしてしらべてみる
- 定盤上に木型とわくを置く
定盤の上にダボのでていない方の模型の半分を置き、わくと湯口棒および木型との関係位置はその距離、間隔が均等になるようにする。 - はだ砂をきせる
- 型込めする
- 木型をのせる
だぼのついているほうの木型をのせるが、この際だぼ穴に砂がかんでいると、上型をはがすとき木型が割れ面からはがれにくいため、型がこわれるおそれがある。 - 別れ砂をふる
別れ砂をふり、その払い落す要領はのせた木型を取り除き、下型を両手で持ち上げ、90゜回転すれば余分の別れ砂は落ちる。別れ砂が落ちたら再び木型をのせる。 - 上わくをのせ、突き固める
上わくは下わくより深い方がよい。その際は浅わくよりも余計に突く必要がある。 - 合印を切り、湯口棒を抜き取り、上型をはぐ
- 種上げ後、堰を切り塗型をし、型をかぶせる
第3節 寄返しによる型込め法
Fig71の如きみぞ車をつくる場合は、Fig72とFig73の二つの方法によって作られるが、Fig72のように特に中子型を用いずに鋳型する方法である。
Fig71みぞ車模型と製品 寄せ返し用模型と製品の例 |
Fig72寄せ返し法 寄せ返し方法 |
Fig73中子使用法 中子使用法 |
- インロウの凹んでいるほうの割り面を下にして、Fig74のように定盤上におき、わくをのせはだ砂をきせて型込めをし、反転して定盤上におく。
- Fig75のようにみきりをするが、図(b)のようにa点は木型の緑の丸みの中央で行ない、abc部の砂をへらで取り除いてみきる。この際みきりはできるだけ大きくみきったほうがよいが、Fig75の如くθが小さすぎると破損しやすいので、適当な大きさにみきる必要がある。つぎにみきり部をへらでなでつけ別れ砂を十分ふる。
- 残り半分の木型を合わせてのせ、木型の周囲に(みぞ部)はだ砂を軽くたたきつけ、Fig76のabをへらでなで仕上げる。この際b点も木型の縁のR部の中心でみきる。さらにその上に別れ砂をふる。
なおみきりをする場合、Fig77のように上型と下型とのみきりの大きさが違わないように注意する。 - Fig77のように上わくをのせ、湯口棒を木型の上の中央に立てはだ砂をきせて後、荒砂を入れて型込めをする。湯口棒を抜いてゆび先で穴をなでつけた後、合印をつける。
- つぎに両わくを重ねたまま、静かに定盤上でFig78(a)のように反転し、上にある下型のわくを手の平で前後左右に軽くたたいてゆるめてから静かにあげ、反転して他の定盤上か、平らにならした砂の上におき、木型を図(b)のように種上げする。
- Fig79のように下型をかぶせる。白い部分は木型を抜き取った状態を示したものである。
- つぎに両型とも反転し、Fig80のような状態から上型を手の平でたたいてゆるめて持ち上げ、種上げする。
- Fig81のようにかぶせるが、合印によく注意する必要がある。なお造型中心要に応じ塗装する。
Fig74 |
Fig75 |
Fig76 |
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Fig77 |
Fig78 |
Fig79 |
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Fig80 |
Fig81 |
Fig82 |
[註]数ものの場合の寄せ返し法はFig82のような捨て型を利用すると能率的である。
- 割り型を組み合わせてFig83(A)のように定盤の上に置き、はだ砂で車の周囲のみぞの部分を図の如く固め、へらで仕上げる。この部分を寄せという。
- 寄せの部分に仕切砂をまき、下わくを置いて、Fig83(B)の如く型込めを行う。この際突き棒で寄せ面をつきこわさないよう注意する。
- 下型を反転してFig83(C)の如く、仕切砂をまき上わくを置いて、湯口棒を立て上型をつくる。(下型を反転する際、木型が落ちるおそれがあるから、定盤と共に反転する)
- 上型と下型とを組合せたまま反転するとFig83(D)のように上型が上側になるからこれをはぎ取り、木枠の半分を抜き取る。
- 下型を上型にかぶせる。Fig83(F)
- 上型、下型を反転してFig83(G)の如く完成鋳型となる。
A寄せの砂を盛る |
B下型を込める |
C上型を込める |
D上型を取って下型の半分を上げる |
E寄せを上型に返して残り半分の木型を上げる |
F下型を上型に合せる |
GFを反転して鋳型は完了する |
第4節 重ね型による型込め法(中継ぎ型)
Fig84の如き形状の鋳物を作る場合、何段か鋳わくを重ねて製作する場合がある。この方法を重ね型法と称す。
Fig84
- 最初に同図の①の部分をFig85のようにさかさにして定盤上に置き、いくぶん硬めに込めつける。
- 込め終ったならばこれを配置し、砂面をへらで仕上げ、別れ砂をふる。
- つぎにその上に②の木型をのせて込めつける。Fig86のようにa-a’線でみきる。
- はばき③を置いて別れ砂をふり上型を込める。この際、湯口と上がりを立てる。
- つぎに合印を切り、上型をはいで配置し、はばき③を置く。つぎに②’を抜き中継ぎをあげて反転し、上型の上に重ねて木型②をあげる。つぎに木型①をあげて下型の上に順に中継ぎおよび上型をかぶせる。
なおFig87に示すような歯型を型込めする時、みきりに手間のかかるものを数多くつくるときは、Fig88①のような捨て型をつくり、つぎに中継ぎをのせて込めつけ、その上に下型を込める。そして下型をのせたままの状態で中継ぎを捨て型よりはぎ、定盤上に転置する。最後に上わくをのせ湯口棒を立てて上型を込める。
Fig85 |
Fig86 |
Fig87 |
Fig88 a. b. c. d. e. |
Fig89 |
[註]鋳枠の高さが足りない場合の中子納めの重ね型製型の順序方法はFig89に示す。
第5節 ひき型による型込め法
中心線を通るすべての断面が左右対称であるものの製品を作る場合の造型法である。作る形状に制御があるが、その方法を採用すると今までの型込法より手数はかかるが、模型費が節約できて相当大きな形状のものができるので、数の少ない大きなもので挽き型で製作できるものに利用して有利である。製型のために今までの工具のほかにFig90に示すような器具が必要となる。
Fig90挽型の道具 |
Fig91 |
今Fig91に示す如き製品を挽型ゲージにより造型する順序は
- 挽き型による鋳型をつくるにはFig92に示すような馬と心受が必要である。心受は直径15~20mmぐらいの金属片の中央にポンチでへこみをつけた金具で、挽き型の支軸を下から支える。馬は木型の支軸を上から押えている。馬をえらぶ場合、挽き型をあてがったとき背中の部分が水平になる程度の大きいものがよい。又挽き型のまなと押えの部分は型をかぶせるときに合せ目となるのであるから、挽き型の生命でもある。砂をかく部分には斜めに削って、砂のかまないようにしたしのぎをつける。
- まず最初に土間に下わくを置きFig93(a)のように砂を半分ぐらい入れ、心受をその中心部に置く。中心におくには(b)のようにわくの対角線の交点を求めればよい。さらに型板をあてがい、周囲のまなとわく角との距離が一様になるようにして中心を確かめる。
- つぎに軸心の上を馬で押さえ、型板を軽く回転し、Fig94の①②③④の四箇所の寸法が一様で、2~3mmぐらいのすきまになるようにする。すきまがあきすぎているときは、型板をはずして心受をたたいて押し込める。①>②のときは、(a)に示すように馬の両足を矢印方向に軽くたたく。①<②のときは反対方向にたたく。④>③のときは⑥を矢の方向にたたく。④<③のときは⑤を同方向にたたいて、適当にすきまを調節する。
- 馬の位置が安定したら馬が動かないようにおもりをのせる。おもりをのせて型板を回転してみた場合、軽く動くようでなければならぬ。
- わくの高さまで砂を入れ突き固めてだいたいの型を引く。この場合まなに注意して、Fig95(a)のように矢印方向へ引く。その要領は(d)のように右手で板を軽く持ち左右にあおりながら砂をかいていく。2回目にひくときは両手で砂を押しつけるようにたたきながら右手でかくが、軸心に近い部分から仕上げていくようにする。
- 乾燥させた山砂を3厘目ぐらいの細かいふるいで型の上に振りかけ、さらになるべく遠くから霧吹きで水を吹きかける。次に静かに馬を動かさないようにして挽き型をはずし、馬の位置が変わらないようにしておき、木型を掃除してまた取り付け静かに引く木型をはずさないで掃除する場合は、へらで型板を軽くたたき砂をかき落とす。型を挽き終えたならば、馬をはずして木型を取り除き、へらで上面を仕上げる。つぎにせきをつくり塗型する。
- 上型の作り方は下型と略同じであるが、砂が落ちないようにわくにさんおよび釘を打たねばならぬ。なお不充分なときは、型を引き終ってからFig96のように表面に釘かエンパンなどをさす。
- せきをつくる。Fig97に示すように円筒のせき棒に水をつけ回転させながら力を入れて押し込み、わくをたてて湯口を指で掘ってなでつける。
- 上型に島を置くために島の中心をまずけがく必要がある。型板の縁に打ちつけた釘が造型の際、円をえがいて釘跡が残るから、この円周上の一個所にけがき用の透明板をFig98のように当てがい、ポンチ跡が円周上にくるように置く。
- Fig99に示すようにコンパスをポンチ跡に合わせて任意のA点より型の上に軽く円弧をえがき、透明板を円周上の任意の点Bに移し、前と同半径で円弧をえがき、その交点Dを結んだ直線と円との交点をEFとし、垂直2等分線を引いて円との交点G,Hを求める。GEHFはこの円周の4等分点でOは島の中心になる。
- 島をつくる木型の中心線を鋳型の上のけがき線にFig100のように合わせ、上から砂をつめるが、へらで鋳型を荒らした方が島がよくつく。また危険と思われるときは、釘を打った方が安全である。鋳型完成後塗型する。
- 挽き型をかぶせるのはまなを基準にして行なうが、プーリのようにアームのあるものは、心ともなの両方を合せるようにする。特にFig101のabcdの四箇所は注意してつくらなければならない。
[註]乾燥挽き型法
Fig102に示うすようなギヤホイールを挽き型にて製作する場合の方法を示す。挽き型は一般に乾燥する。乾燥型で行なう場合でも、荒挽までは前同様であるが、そのあとまね掛けをする。
- まねの型の上にかけFig103のように側面のつき難い所へは手でたたきつけるようにして、静かに型板を回転させる。このときしのぎの方向は荒挽きの場合と逆の方向、即ちFig104のようにするときれいに仕上る。つぎに木型をはずし、表面の水分が吸い込んだら、へらではだを仕上げて釘を打つ。
- アームのいけ方は円周の分割点と中心を結びまなまで伸ばす必要がある。アームの中心線をだして割出線と平行にコンパスでFig105の如くab線を引く。中心線の上に木型を伏せ、鋳型にけがいた線中心と木型の中心線を一致させた後、木型の両縁にそって線を引き、この2線間の砂を掘って木型を埋める。部分木型の割付は簡便表を参考にするとよい。
円周3等分の場合は直径の長さに __5__〃 __6__〃 __7__〃 __8__〃 __9__〃 __10__〃 |
0.87 0.71 0.59 0.50 0.43 0.38 0.34 0.30 |
- Fig106のように木型を埋めたら、その中心線とけがいたab線が平行になるように仕 上げ、つぎに破線で示したように面取りする。
- つぎに堰は雨ぜきといって、Fig107に示すように直径7~10mmの軟鋼丸棒を円周のリムの部分に三箇所突き差して穴をあける。つぎにわくを立てかけて、裏側の湯口になる部分に湯だまりをつけ、黒味を塗って乾燥する。
- ボスの中心には中子を入れるが、中子の部分は両はばきであってFig108に示す如く上型のはばきの天井はAのように抜き、この穴は多少大きめにあけておくとよい。
- この上型をかぶせるときは、1人がわくを支えて静かにおろし他の1人が別に四方からまなをみて、まなと中心線が合うように両手でわくの横側を軽く押えて行なうようにする。Fig109のようにまながずないように注意する。
中子を入れるときは砂をかまないように注意する。Fig110(b)は上型の上部を示すものであるが、中子を納めたならば中子の周囲に綿をつめ、中子のガス抜き穴に気抜針を差してまわりに砂をのせ、気抜針を静かに抜く。
Fig92 |
Fig93 |
Fig94 |
Fig95 |
Fig96 |
Fig97 |
Fig98 |
Fig99 |
Fig100 |
Fig101 |
Fig102 |
Fig103 |
Fig104 |
Fig105 |
Fig106 |
Fig107 |
Fig108 |
Fig109 |
Fig110 |
第6節 かき型による型込め法
製品断面が一定の形をした品物はかき型によって造型ができるかき型は品物の断面に等しい板ゲージを作りこれを案内板に沿ってかき動かし鋳物砂をかきとって鋳型を作る方法である。この方法は製作個数が少なく、製品の大きい場合に木型の経済性を考えて採用されるものである。今Fig111の示すようなフランジ付パイプについてその造型順序を説明する。
- Fig112のように定盤状に木型を案内板、はばき、フランジを組み合わせてがたつかないようにおき、わくをおいて砂をつめて型込めするが、フランジとはばきのところへはだ砂をきせる。
- 定盤ごと反転してから定盤を取り除き、案内板にそって外型用のかき板(a)でFig113のようにして砂をかき、まねかけを行なう。
- はばきとフランジの木型を抜き取り、Fig114のようにへらで面をとり、はばきを押える。
- Fig115に示すように、鋳型の上にかいものをし鉄板をのせ、この上に炭火をおこして表面をあぶり乾燥させる。上型も同様にしてつくる。
- 外側を使って中子を作る場合は、Fig116に示すようにまず生砂を入れ、案内板をのせて外側に合せ、かき板bで砂をかく。
- この上にFig117aに示すように新聞紙を水にぬらしていねいにならべ、その上にほろ砂を押さえの線までつめ、鋳鉄性の芯金にはじろを塗ってこの上にのせさらにほろ砂を盛るようにしてつめ、鋳鉄性の信金にはじろを塗ってこの上にのせさせにほろ砂を盛るようにしてつめ、かき板cを案内板にそってかく。かき終ったならば軽くへらにて仕上げ、このまま乾燥させてから取り出す。なお心金にはガス抜きをよくするために(b)のようになわほ巻くとよい。
- かき型をかぶせるにははばきの背中をFig118のように削り、外から鋳型の中が見えるようにしておき、中子をすげないで空かぶせしてみて、型の中にあかりを入れ、はばきがよく合うようにし、合ったところでわくに合印を切る。
Fig111 |
Fig112 |
Fig113 |
Fig114 |
Fig115 |
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Fig116 |
Fig117 |
Fig118 |
第7節 其の他
1.島のある型の込め方
Fig120のような斜線で示す島と称する部分のある木型の型込めは、つぎの如き要領で行なう。
- 木型をわく内に正しく置く。この場合湯口の位置Aを予想するが、押さえ(わくと木型との間)は少なくとも35~50mm位はあった方がよい。Fig121を参照されたい。
- はだ砂をきせる。5~3厘(10~14メッシュ)のふるいでふるった鋳物砂を木型の周囲に10mmぐらいの厚さにきせる。
- 荒砂を入れ突き固める。
- 反転してへらをかけ別れ砂をふる。
- 上わくをのせはだ砂をきせて釘をさす。
Fig120トースカン台の木製 |
Fig121わく内の木型の位置 |
Fig122 |
[註]造型上の留意点として
- 島のあるものをつくるときは、その部分に必ず木型にはだ砂を軽くたたきつけるようにすることが大切である。
- 危険と思われる島の部分には釘をさすが、釘はなるべく古釘を使い、島に対して1本は傾斜させるとよい。傾斜角はだいたい70゜前後がよい。なお古釘にははじろ水をつけて差すと、一層効果的である。又このトースカン台の場合はつり木(木片または割り箸)を使用してもさしつかえない。
- 一般に島ものの場合、突き固めを硬くしすぎると、型あげのとき島が木型についてくる場合もあり、またガス抜けも悪くなる。
- 型あげの際、島を動かさないように注意しなければならない。
2.みきりの行ない方
Fig123のような木型はCD面で割った割り型であると型上げも簡単であるが、単体型であるとabcの斜線で示した部分がじゃまになって、木型が上がってこない。そこで下型に込めたならbcdの部分を削りとって、この部分を上型に属させる方法をとる。このような方法をみきり(見切り・目切り)という。
例)ハンドル車の込め方Fig124に示すようなハンドル車を型込めするにはFig125(A)のように定盤上で下型を込める。つぎに反転して(B)のようにみきるが、この場合ハンドル車の中心よりみきる。またアームの部分も中心でみきり、上型、下型とも砂がじゃまして種があがらないところがないように注意する。ただしみきる場合なるべく遠くからみきらないと急こう配になって押込むことがある。
みきる終ったならば別れ砂をふり、上型を込めつける。最後に合印を切り上下型を同時に反転して下型をはぎ、上型の島に釘をさす。
(C)は完成した鋳型を示したものである。
Fig123 |
Fig124 |
Fig125 |
3.捨て型のつくり型と込め方
数ものでみきりに手間のかかるもの、また木型の形状が不規則で、定盤にのせたとき不安定で型込めに不便な場合いは、木型を安定させるため、木型の形状にあった形の定盤を砂でつくる。一般に模型の反面を定盤の上において型込めを行うが、模型を分割できない場合には、模型の分割線までを埋める型を作り、この上にわくをのせて型込めを行う。この型を捨て型とよぶ。
- 砂定盤をつくり、その上に木型をのせてFig126(b)の如く安定するように砂を掘り、またつめて周囲の砂をかきならし、へらがけして仕上げる。この際捨て型は鋳型ではないので硬めにつくることが大切である。なおわくは木型を安定するに必要な最少限度のわくでよい。分れ砂は軽く捨て型にふりかけておく。
- 型込めはFig126(C)のように捨て型に木型をのせ、別れ砂をふって上型を込めつける。このとき湯口棒も立てる。上型をはぐとき木型の落ちるおそれのあるときは、Fig126(b)のように木型をつる必要がある。
- 上型をはいだら押さえをよくなで、湯口の穴を薄い鉄板でふたをして下型を込める。Fig126(e)を参照
- 下型の込めつけが終ったならば、上下型いっしょに反転して上型をはぎ、木型を上げる。
Fig126